自賠責保険と任意保険のしくみ
自賠責保険と任意保険(1)全体のしくみ
自賠責保険のしくみ
■自賠責保険と任意保険は二階建て構造
二階建ての建物を訪ねるときは、まず一階から入ります。そして一階で用事がすべて方付いたら、わざわざ二階に上がらずに帰ります。自賠責保険と任意保険の関係もこれによく似ています。
交通事故で相手にケガをさせたり死亡させた場合の賠償は、まず自賠責保険から支払われます。賠償金額が大きくなって自賠責保険では足りない場合に、不足した分だけ任意保険から支払われます。
自賠責保険は強制加入で、バイクや自動車を運転する人は必ず加入しなければなりません。「強制保険」というと自賠責保険を指します。保険ですからとうぜん保険料は払わなければいけませんが、ドライバーの中には「自賠責の保険料っていつ払っていたっけ?」というのんきな人もいます。
忘れてしまうのもムリないかもしれません。自賠責保険の保険料は2年に1回の車検の車検代の請求に含まれているのです。日本で車検の切れた車に乗っている人はほとんどいないので、自賠責保険の「強制加入」はほぼ100%実施されていることになります。車検のない250cc以下のバイクは自分でコンビニなどで払うことになります。ちなみに自賠責保険の保険料は平成25年の4月に値上げされて、普通乗用車は保険料が2年間で2万7840円、軽自動車が2万6370円です。
万一加害者が自賠責保険に入っていなかったらどうなるでしょうか。加害者が車検の切れた車に乗っていた場合は、実際にこういうことが起こりえます。この場合被害者の損害は政府が補償します。これが無保険事故の被害者救済です。加害者は政府から被害者に賠償した金額を請求されます。またたとえ事故を起こさなくても無保険の車に乗っていると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑罰が課され、運転免許も即時停止になります。
■自賠責保険は事故の相手の人身損害だけを賠償
自賠責保険の正式名称は自動車損害賠償責任保険です。ただし自動車損害といっても、車が壊れた損害ではありません。「自動車事故で受けた人身損害」だけを賠償する保険です。自賠責保険は物損にはいっさいノータッチです。
ただし被害者がかけていたメガネが壊れたときは、メガネの損害は補償されます。メガネは物ではなく、被害者の目の一部(目の機能をはたすために欠かせないもの)とみなされるからです。したがってオシャレのためにかけるサングラスは「物」になります。同じ理由で義足や義手が壊れたときも補償されます。
※以下、加害者の立場から述べるときは「賠償」、被害者の立場から述べるときは「補償」という言葉を使います。
あなたが交通事故でケガをした場合は、相手(加害者)が加入している自賠責保険に治療費などの補償を請求します。あなたが誰かにケガをさせた場合は、あなたが加入している自賠責保険から賠償されます。
■単独事故の運転者は補償されないが同乗者は補償される
自賠責保険の趣旨は「ケガをさせた相手への賠償」ですから、自分が車を電信柱などにぶつけてケガをしても自賠責保険は適用されません。しかし車の同乗者がケガをした場合は、同乗者は事故の相手(被害者)とみなされて、同乗者のケガの治療費などは自賠責保険が適用されます。ただし、ケガをした同乗者が車の所有者だった場合は、自賠責保険は適用されません。この場合は運転者も同乗者も自賠法の「運行供用者」にあたり、保険の適用外になるからです。
では車どうしの事故で双方がケガをしたときは、どうなるのでしょうか。この場合はお互いが相手の自賠責保険から補償してもらうことになります。ただしどちらか一方に重大な過失があった場合は、過失の大きい方に支払われる保険金は減額されることがあります。
自分の過失割合が70%以上の場合、事故の相手の自賠責保険から支払われるケガの保険金は2割程度減額されます。また次のような過失100%のケースは「無責事故」として保険金の対象外になることがあります。
・センターラインをオーバーして事故を起こした
・赤信号を無視して事故を起こした
・止まっている車に追突した
交通事故施術メニュー
交通事故の治療と
ケース別症状
交通事故の
知っておくべき情報